【発達障がい】感覚過敏で苦しむ方たち 1

私の周りには、感覚過敏で日常の社会生活、学校生活等に支障のある方たちがいます。

ASD(自閉症スペクトラム、旧アスペルガー症)の方たちに多い症状です。

その方たちにとって辛いのは、感覚過敏が原因で、周りから「変な人」「めんどくさい人」

「困った人」「わがままな人」などと思われて様々な精神的苦痛を受けてしまうことです。

私自身も、福祉の仕事に長年携わってきましたが、食べ物の好き嫌いが、感覚過敏が原因

のことがあるということを理解できるようになったのは、ここ数年のことです。

世の中には、こういう方たちもいるのだ、と知っていただければ幸いです。

ご本人たちが周りに理解して欲しいと願っていますし、

周りの理解が深まれば、生きずらくて困っている方たちが生きやすくなるからです。

また、子どもの頃から、こういう方がいることを知っておくと、いじめも減るでしょうし、

「きっと、何か苦手なことがあって大変なんだな」と、思いやりの心を育むことができると

思います?

感覚過敏について事例を交えながらご紹介します。

目次

感覚過敏とは

感覚過敏について、言葉自体を初めて聞いたことがある人もいれば、

言葉は聞いたことがあるけれど、具体的には、どんなものに過敏なのかわからない方

もいるでしょう。

感覚過敏には、主に、聴覚過敏、視覚過敏、味覚過敏、臭覚過敏、触覚過敏があります。

聴覚過敏・・・大きな音や特定の音が苦手。全ての音が苦手なわけではない。

視覚過敏・・・光が眩しく感じすぎる。人の顔が見れない等の視覚過敏もある。

味覚過敏・・・特定の味や食感に不快を感じる。

臭覚過敏・・・香水やシャンプー・制汗スプレー等に含まれる芳香剤、その他特定の化学       物質等の匂いを嫌う。

触覚過敏・・・体に触れるもので特定の嫌なもの(服の素材やタグ等)がある。

事例 Nさんの場合

Nさんのプロフィール

⭐️40代後半 女性 既婚(夫、子供2人)

⭐️40代前半にASDと診断される。

感覚過敏

・幼少期から、自分が周囲の人とは、モノの感じ方や捉え方が違うと悩んでいた。まだ幼いの に、父に抱っこされたり、体に触れられるのが嫌だった

化学物質過敏がある。(香水、シャンプー・制汗スプレー等に含まれる芳香剤、油性マジッ ク、ワックス等、化学物質全般の匂いが苦手。匂いを嗅ぐと心身が不調になる。)

触覚過敏がある。(皮膚が弱いこともあるが、衣服の肌に触れる部分はコットン100%で ないと着ることができない。洗髪や洗体が苦手。)

・過去の記憶が鮮明に残っており、嫌な記憶はトラウマとしてフラッシュバックし精神的不調 に繋がる。精神的不調から感覚過敏がいつも以上にひどくなることが多い

人間関係

・わからないことは、わかるまで説明して欲しいと思うが、人間関係の中で、気づくと相手が 怒っていることが多く、人と関わることが怖い。

(我が子の学校関係の集まり、公共機関の窓口や、病院でのやり取り等、人との関わりには支 援が必要。)

・子どもの頃から成績優秀で、大学卒業後は福祉事業所職員、教職等に就くが、人間関係や仕 事上のトラブルで不調になり、長らく自宅に引きこもっていた。

・人と話すことや関わることは基本好きなのだが、空気を読んでの言動は難しい。どうやった ら人とうまくやっていけるのだろうと悩むことが多い。

現在

・3年前から、奥中山高原結カフェの福祉サービス利用開始。日中は、匂いを過敏に感じない

場所で自分のできる範囲の仕事をしている。通院支援や移動支援、療育センターでのカウン

セリングを定期的に受けている。

Nさんの感覚過敏の対処法

事業所内の環境を、すべてNさんのために整えることは難しいため、事前に丁寧に説明をしま

した。

(飲食店も運営しているため、洗浄剤は業務用の化学的なものを使う必要があること。

他のメンバーに、化学的なものを使用しないように強制することはできないこと等。)

Nさんは、そのことを理解し、なるべく匂いの大丈夫な空間で過ごし、時と場合によって、手

作りのコットンのマスクで化学臭を防御する等して対処してくださっています。

また、食品を取り扱う事業所なので、出勤時には、苦手な洗髪や洗体をお願いしています。

「仕事に行く時は、シャワーは必須」と自分に言い聞かせてくださっています。

自分ルールをアップデートする感じだそうです^ ^

その他・・・

・Nさん用の専用手洗い石鹸は、Nさん希望のものを事業所で購入しています。

・Nさんが使うトイレの芳香剤は、ハーブエキスでNさんが手作りのものを使用しています。

・周りのメンバーには、事業所内で使う制汗シート等は、なるべく無香料のものを使用するよ うお願いしています。

・事業所内の服装は、清潔面だけ気をつけていただければユニフォームでなくてもOKとしてい ます。

・感覚過敏がひどくならないよう、悩みごとを溜めないようにし、その都度、事業所職員に相 談するようにしています。

ASDと判明し、ホッとしたNさん

Nさんは、数年前にASDだと診断された時、とてもホッとしたそうです。

周囲の人と感覚の 違いがあることや、人間関係のつまずきの原因がASDという特性にあるこ

とがわかったからです。

感覚過敏も、人間関係のつまずきも、なくなるものではありませんが、精神的に不調に陥らな

いように対処法を覚えたり(療育センターでも定期的にアドバイスを受けています)、

福祉事業の支援を受け、気になることは、その都度相談し解決するようにしているので、

精神的な辛さは軽減してきているようです。

細かい仕事がとても得意で、他のメンバーもできないような仕事をこなすNさん。

基本の人柄は優しくて純粋。

記憶力が良すぎる特性を生かして、仲間の誕生日にはメッセージを送り、知人の命日には、

その家族のために祈ります。私も、いつも祈ってもらっています。

仲間の相談事も良く聞いてくれます。

自分と同じように困り悩んでいる人のために、自分ができることがあれば、是非助けになり たいとのことです*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)’・*:.。. .。.:*・゜゚・*

まとめ

弊社福祉事業所(奥中山高原 結カフェ)で関わっているASDの方は、今のところ3名います。

3名の方に共通するのは・・・

・感覚過敏があり、環境調整が必要なこと。

・人と関わるのが好きなのに、コニュニケーションがうまくいかず助け(支援)が必要なこと。

・家族との関係でも、つまずきやストレスがあること。

・知的に高い方でも、言葉より視覚の方(紙に書く)が理解が深まること。

・自分の特性を理解してもらえず、傷ついた過去があること。

・純粋で嘘をつけない、まっすぐな性格だということ。

特性を理解し、少しの配慮や優しい声がけを行えば、彼女たちの生きずらさが軽減されます。

社会の中で、同じような傾向を持つ方たちに出逢ったら、どうぞ優しい眼差しで見守ってあげ

ていただきたいです。

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