「結カフェは、なぜ株式会社でやっているんですか?」と
聞かれることがあります。
2007年6月に、個人店としてスタートした結カフェを、1年後の2008年6月に
株式会社にした訳は、以下のとおりです。
目次
法人格が必要だった
最初、個人店としてスタートした結カフェでしたが、
障がい福祉事業を行うには法人格が必要でした。
2006年に新会社法が制定され、それまで、資本金として
1000万円必要だった株式会社の設立が1円から可能になりました。
資本金50万円で「株式会社 結(ゆい)」を設立しました。
周囲の福祉事業所は社会福祉法人やNPO法人が多かった時期ですが、
あえて株式会社にした訳があります。
顧客からの信頼
結カフェでは飲食店の他に、菓子製造の許可をとり、
手作りの菓子を店舗や小売店で販売することも計画していました。
福祉事業所の製品だからと、お情けのような形で買っていただくのではなく
多くのお客様から「美味しい!」と喜んでいただけるよう
製品自体で勝負したいという思いがありました。
お客様や小売店にも信頼していただくには株式会社が良いのではと思いました。
社員の声を反映させやすい
社会福祉法人やNPO法人では、補助金の面等で優遇されるメリットがありますが、
一定の人数の理事を配置しないといけないことで、
物事を決めるときの決済に時間がかかったり、
現場のスタッフの意思が反映させづらいのではと考えました。
現場のスタッフが考えたアイディアや思いを、
即、会社の運営に反映させたいと思いました。
ビジネスを行うにはスピードも大切だろうと思っていましたし、
現場にいない理事の方達の意見が優先されても困ると思いました。
社会貢献(税金を治めること)
株式会社は営利法人なので、
良い商品や良いサービスを提供することで利益を追求したい
また、利益は社員でシェアし、税金を納めることでも社会貢献したい
と思いました。
ハンディーキャップがある人も長所を生かして働けば
社会の役に立てることを証明したかったのです。
社員としてのプライド
私は、結カフェをスタートする前に、約10年間、支援学校の教員をやっていました。
生徒の中には自分が支援学校に通っていることに不満のある方や
進路先として福祉事業所を望んでいない方もいました。
しかし、一般就労(一般の会社への就職)となると、ハンディーキャップゆえに
ハードルが高く、就職の希望がかなわない方もいました。
福祉事業所の法人格が会社だったら、そういう生徒達も満足できるかもしれない
と思いました。
始めて見たら大正解でした。
会社の一員(社員)として仕事をしているという誇りが生まれ
そのことが大きな理由で、弊社の福祉事業所を利用してくださっている方も多いです。
まとめ
2006年の新会社法の制定後、株式会社でも福祉事業の指定を受けることができるようにな
りました。株式会社や合同会社、NPO法人等、福祉事業の指定を受けることのできる法人格の
幅が広がったのは、地域の福祉資源を積極的に増やして行こうという国の方針もありました。
(社会福祉法人ですと、法人設立のハードルがとても高いです。)
それまでの福祉制度は措置制度といって、自分で自分の利用したい福祉サービスを選ぶという
視点ではなく、市町村が適切と思われる福祉事業所に措置する形でした。
たくさんの資源の中から、本人や家族が、
より希望に合ったサービス内容や福祉事業所を自ら選ぶというのが大事なことだと思います。
ハンディーキャップがあっても、
自分の人生を主体的に生きていくことが大切だと思います。
福祉事業所の設立に関しては、県(振興局)の福祉部で相談にのってくださいますので、
気になる方は、最寄りの県庁か振興局へ連絡してみてくださいね☺️
信用の面では、株式会社と変わらないかと思います。